道化が見た世界

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ワンランク上の飲み会作法

大学生活において切っても切り離せない儀礼的会合、それが「飲み会」である。サークルの新歓コンパ、クラス会、合コン等々、各大学で全方位的に催される「飲み会」は、全てのコミュニケーションの土台として機能していると言っても言い過ぎではない。


まだ見ぬ人との出会いに対する不安や期待、親睦を深めたいと思っている異性へのアプローチ等、「飲み会」の場では種々の感情や意識が渦巻いている。その場で自分の持ち得る力量を存分に発揮することができれば、ワンランク上のコミュニケーターとして変貌を遂げることも可能である。


ではまず、「飲み会」における至上目的は何か。それは「飲み会の空間」全体を盛り上げることである。たとえば、自分好みの可愛い女性、あるいはイケメンな男性が飲み会の場にいたとしよう。普通なら、その意中の人と会話したいと願い、他の参加者は総じてアウト・オブ眼中で、彼/彼女に自分のハートをロックオンするのが一般的だが、



それではいけないのである



厳密には、飲み会の空間全体が破綻しない限りにおいては可能であるが、もし仮に、自分とその意中の人だけの会話に夢中になってしまい、自分の周囲は沈黙しているにも関わらず、それを是として二人の世界に逃げ込むことは、



まがうことなきアウトである



誰でも可愛い子やイケメンがいれば、その人とだけ喋りたくなるものだし、その感情を否定することはできない。しかし、敢えてそこにブレーキをかけ、「私は何よりも全体の調和を優先する」という使命感を宿し、全体に気配りができる人間こそ、「ワンランク上のコミュニケーター」としての資質を兼ね備えるポテンシャラブルな存在と言うことができよう。


そして、その前提的な認識を持ちながら、いかに「場を盛り上げる」かという方法論が、次なる問題として浮上してくる。世の中には、「取り敢えず盛り上げれば何でも良い」と思っている輩が数多く存在し、その方法になんの趣向も凝らさない思考停止した馬鹿が五万といる。


私が見た中で、最も衝撃的だった「盛り上げ方」は、有無を言わさずにいきなり「うぇ〜〜い!!」と叫びながら飲みの席に割り込んで来る人種であった。そういう人は一度大きく深呼吸をして冷静になって、周囲を見渡してみて欲しい。ホラ、だんだん見えてきたっしょ?



みんな虚空見つめてるの、見えてきたっしょ?



「取り敢えずノリで大声を出す」といった単調な盛り上げ方では、必ず一方向的で押し付けがましい言動に終始してしまい、あまつさえ「お前らノリ悪いなァ」と放言してしまう人種は、もう何もかもが見えていない。


また、「コール」といった無理矢理にでも場を盛り上げようとする荒技も存在する。確かに、コールをふっている空間に居る人達は盛り上がることができるかもしれないが、それを傍目から見ている違う空間の人達との温度差は、文字通り火を見るよりも明らかであり、全体調和の盛り上げ方としては、少々難点があるし、コールそのものに嫌悪感を抱いている人種も少なくない。


少なからず、かの様なはた迷惑な人種のせいで、飲み会のイメージが低下してしまい、素晴らしい出会いの可能性を秘めた、飲み会という全てのコミュニケーションの土台からドロップアウト(飲み会に行くことが億劫になる)してしまう人もいるだろう。そういった人達を救済し、「飲み会とは素晴らしいものだ」と思わせてくれるアクター、つまり、「全体の調和を優先し、かつ、盛り上げ方も心得ている人材」の存在が今、求められているのである。


方法論の詳細については、後日更新予定である。