道化が見た世界

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人を「いじる」こと

人をいじることは一種の刺激的な娯楽である。その娯楽を娯楽たらしめる為には、いじる側の良識、いじられる側への配慮が不可欠となる。それらの見識を有していない未成熟な人間は、無闇に人をいじってはならない。


良識を有さない利己的な人間は、人をいじることによって、自己の優位性を確立しようとする。自己がいじられる側にまわるという可能性・危険性は、彼のおめでたい頭の中には存在しない。その暢気で高慢な態度を傍から見ていると、非常に虚しくなってくる。


周囲の人間が彼のいじりに際限なく同調する場合、いじられる側の精神的キャパシティは限り無く臨界点に近付く。いじられる側の人間というのは概して、根っから善良であり、他者に抗う方法を知らない為、他者のフラストレーションの恰好のはけ口となる。いつもは温厚(実際は、怒りを爆発するまで溜めているのであるが)なのに突発的にキレる人種というのは、つまり彼のことである。


何故こんなことを書いたかと言うと、地元野球チームの一件(良識のないB君が善良なA君をいじる)が私の頭の中から離れなかったからである。私が今度ああいった場に立ち会ったら、私は全力でB君をいじることにする。