道化が見た世界

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ES(エントリーシート)の書き方

ESに悩む就活生諸君、ご機嫌いかが!本日は、そんな貴君らの為に、私が救いの手を差し伸べたいと思う。この手が真に天空から差し伸べられる救いの手であるか、あるいは崖下から這う道連れの手であるかの真偽は、諸君らの審美眼に任せたい。


さて、早速本題に入るが、ESの骨子になる構成は、<理念><過程><結果>の三つである。この三つの諸要素を自分自身の大学生活に当て嵌めれば、ESは完成する。肝要なことは、この三つを繋いで自分のサクセスストーリー(そのストーリーに説得力があれば、その真偽は問わない)を創出することと、自分のESを他者のESと差異化させる為にオリジナリティを追求することにある。


<理念><過程><結果>の諸要素のうち、どれが欠けてもいけない。更に、自分の強み(オリジナリティ)が、どの要素にあるかを見定めなければならない。例えば、体育会の部活に入り、とある大会で優勝したという実績は、大きな<結果>の強みとなる。この強みがあれば、残りの諸要素<理念><過程>を描くことは容易い。(たとえば、何事にも忍耐強く立ち向かい、結果を出すという<理念>を持ち、部活での厳しい練習や、自発的な自主練に精を出して<過程>、実際に優勝することができた<結果>)


大学生活のストーリーの下地となるものは、基本的に学業、サークル活動、バイト、課外活動(ボランティア等)である。そのストーリー自体にオリジナリティがあることが望ましいが、大抵の学生はサークル活動、バイトなどでの経験をその下地として書く。そうなると、他者との差異化が難しくなる。


何故なら、部活に所属し、優勝した等と言う燦然と輝く功績<結果>は普通の人間は持ち得ない。彼らが戦うべき領域は<結果>ではなく<過程>ならびに<理念>である。9割方の就活生は、この<過程><理念>で戦うことを余儀なくされるが、それが即ち敗北を意味しない。<結果>で差異化を図れない者は、<過程><理念>でそれを図るべきである。


たとえば、<理念>において「人を幸福にしたい」という博愛主義的な理念を掲げたとして、その理念を如何に行動として具現したかを<過程>で描き、最後に<結果>を記す、という形である。(部活に所属し、大会で優勝した場合のESは<結果>からストーリーを創り上げているが、この場合は逆の、<理念>型である。)


<理念>とは普遍的な個人の行動様式となる思想である。その個人のバックボーンとなる軸である。<理念>に説得力を持たせる為には、<過程>での厚みが必要となる。たとえば、<理念>で「他者に貢献したい」という利他的な理念を掲げたとしても、<過程>でサークルやバイト一辺倒の話をしたら、その理念に説得力は帯びず、一見しただけで「皮相だな」と思われてしまうだろう。


しかし、その<過程>で、複数のストーリーを展開してみたらどうか。「他者に貢献したい」という理念の下、サークルでは云々、バイトでは云々、ボランティアでは云々、と。こういう記述であれば、その個人はその理念の下、自分が属する多様な共同体で行動していたという一貫性、厚みに説得力が増すのは自明である。そこには<結果>の強みはなくとも、その個人のオリジナリティが萌芽していることが分かるであろう。


「○○サークルで代表をしていました。」という紋切り型のESに価値が無いのは、その<理念><過程><結果>の何もかもが抜けているからである。そのESはその個人のオリジナリティを何も表現していない。代表という肩書きはただの記号である。そこにどのようなストーリーを描き、オリジナルな自分を表現するかがESにおいては鍵になるのである。ESに求められるものは、そのオリジナリティと構成美である。


※参考までに。私のESはコチラ