道化が見た世界

エンタメ・エッセイ・考察・思想

帝国お悩み相談所 Note.3

相談者4(M.Sさん 18歳):僕は世に言うチャラい人達が羨ましいと思うことがあります。彼らはいとも容易く、女の子の頭をポンポンしたり、腕を触ったりなどスキンシップを図ることができるからです。


そして、それを受けた女の子側も、まんざらではない様子で「もうやめてよ〜太ってないし〜w」などと言うのです(腕を触られて太った?とチャラ男に言われた時の対応)。そのささやかなコミュニケーションが僕には許せません。絶対に許せません。どうすれば良いでしょうか?


皇帝:なるほどなるほど。確かに許せませんね。でも、貴方は最初に「羨ましい」と言っていますから、貴方も「可能であれば触りたい」側の人間であるということですね。え?私ですか?そんなこと言わなくても分かるでしょう。


それを、「どうすれば良いか」というのは難しい問題ですね。それはつまり、いかにスムーズに女性とスキンシップを取るかというテクニックの問題になっていきますから。


そうですねえ。では、私が今考えた「スムーズ・スキンシップ・スキル(S.S.S)」の一連の流れを参考にしてみてください。無論、貴方がその行為に及んだことによって被った社会的地位の剥奪等の損失に対して私は一切責任を負いません。全て自己責任でお願いします。では、会話式で説明していきます。


(飲み会などの席で)

男「俺って手大きいんだよね」(いかに大きいか、手を広げてアピールする。この際、手が小さくても、大きいんだよねと誇張してアピールしてください)


女「え?ホントー?」

(ここで手の平を重ね合いますので、スキンシップ・ステップ1完了)


男「あ、そう言えば俺、手相とか見れちゃうんだよね」


女「え?ホントー?みてみてー」

(ここで重ね合いから触れ合いへと移行し、スキンシップ・ステップ2が完了します。触りすぎると気色悪がられるのでほどほどに)


女「私の手相どんな感じだった?」

 
ココです。この彼女への返答が勝負の時なのです。普通のチャラ男であれば、やれ生命線はどうだとか、やれ恋愛線はどうだとか、まあ手相判断として妥当な回答をするでしょう。が、私は、そう言った、決められたレールの上をそのまま無難に走り、セオリー通りのことをしただけで、満身の悦びに浸っている人間が嫌いなのです。いや、嫌いではなく、大嫌いです。


貴方は彼らと一線を画す為に、彼女の「どんな感じだった?」という問いに対して、「気持ち良かったです」と、率直に、貴方の主観的な見解を述べてゆきましょう。そうすれば、彼女に「コイツは一味違う」といった印象を与えることができるかもしれません。再度確認しておきますが、全ては自己責任でお願いしますね。それでは、頑張ってください。 


相談者5(H.Kさん 16歳):僕には2つ年上の兄貴(長男)がいるのですが、年が近いからか、喧嘩をする時に手加減をしてくれません。僕は常に負けていて悔しいです。兄貴は怖いですが、彼を怖いと感じてしまう自分も許せません。彼の力に対抗する策はあるのでしょうか?


皇帝:奇遇にも、私もH.Kさんとカナリ近い境遇にあり、貴方の気持ちは良く分かります。今、「良く分かります」と私は答えましたが、私は自己の心境を吐露した時に、開口一番で「わかるよ」と返答する人間を信用しません。お前に何がわかるのだ、と思ってしまいます。


私は、貴方と近い境遇にあることを根拠に挙げ、その妥当性を主張していますが、開口一番でいきなり「わかるよ」と言われると、カウンターで「わかってねえよ」と言いたくなりますよね。まあ、そんなことはどうでもいいんです。


結論を言ってしまうと、貴方に残された道は二つあります。一つは、彼の逆鱗に触れないよう振る舞い続ける消極策。最初はその姿勢にフラストレーションが溜まるかもしれませんが、慣れればどうってことはなく、自然とそう振る舞えるようになるでしょう。


もう一つは、彼が有する力より強い力を、自分が手に入れる積極策です。つまり筋トレやらなにやらをして彼をぶちのめせば良い訳です。私はこちらの策を貴方にお勧めします。


貴方は恐怖心を抱く自己に嫌悪感を抱いている訳で、それは弱い自己への嫌悪感と言っても良いでしょう。その嫌悪感を根源的に取り除くには貴方が彼より強大な力を手に入れて、ぶちのめすしかありません。そうすれば、貴方の生き方は変わる可能性を秘めており、個人規模でのパラダイムシフトが起きると言っても良いのではないでしょうか。


貴方はおそらく、お兄さんに完膚無きまでに叩きのめされて猛り狂っても、時が経つにつれて、その怒りを忘却してしまっているのではないでしょうか。それではいけないのです。貴方は、その時感じた彼への憎悪を、その固有の形のまま、持ち続けなければなりません。そうすることによって、その憎悪がより強い力を欲することへの動機付けとなり、貴方に変化をもたらすことでしょう。頑張ってください。


ということで、今回はこの辺りで終りとしましょう。帝国お悩み相談所は、24時間フル稼働で営業中です。何か悩み事がありましたら、皇帝までお問い合わせください。真摯に対応させていただく次第です。それでは皆さん、お元気で。