道化が見た世界

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女性の心

(2009年04月12日mixiにて掲載)

 私には、女性の心というものが分かりません。彼女達が心の奥底で一体何を考えているのか、それは、私がどうあがいても知ることのできない事の様に思われます。


 というのも、昨日、とあるサークルの新歓に参加してきたのです。新歓に参加する者は、各々初めての顔合わせですから、皆一様に緊張、あるいは不安の表情を浮かべていました。


 しかし、当の私は全くといっていいほど緊張しておりません。去年のウェルパの時もそうでしたが、なぜか私は初対面の人間(女性でも男性でも)と会し話しをする事にほとんど不安や緊張を感じないのです。


 新歓の会場に着き、私が座った場所は、女性が4人、男性が2人(私を含む)という様な構図でした。私の隣に座った1年生の彼は、名を上野太郎と言いました。緊張からくるのであろう彼の挙動不審ぶりを見て、私しかこの場を盛り上げることのできる人間はいないことを悟りました。


 場は大いに盛り上がりました。はんにゃの金田君の髪型にしてもらおうとしたら、ただの坊主になってしまったこと、仙人の境地に辿り着くために、寒いなか家で甚平を着て過ごしていたら風邪を引いてしまったことが鉄板のギャグとなったり、変形自在の変顔を駆使して金田君の真似をしたりすることで、近年まれに見る比類なき盛り上がりの様を呈していたのです。


 そしてここで一つ、皆さんに告白せねばらならない。それは、私のひとつ隣にいる女性が、大変可愛らしかったのです。彼女は、私のくだらない話に熱心に耳を傾けてくれました。色々なことを私に質問して聞いてくださいました。生まれてこのかた19年、恋愛の「れ」の字も知り得なかった私は、この時初めて、愛という言葉の意味を理解したのです。「イエス!フォーリンラブ!」私は心の中で叫びました。


 彼女と文通がしたい。私は思いました。私は彼女に、メールではなく文通がしたい、そちらの方が仙人ぽいから、と伝えました。彼女は無邪気な笑みをみせてうなずきました。私が一方的に書いて送るだけでも構わないということ、冗談ではなく私は本気であることを重ねて彼女に伝えました。そして、私は彼女とメールアドレスを交換し、楽しい新歓も終わりを告げたのです。


 家に帰り、私はさっそく、文通をする為に貴女の住所を教えてほしい、と彼女にメールを送りました。明日には文通のための手紙と封筒を買ってこようと思い、私の心はおどりました。


 しかし、いくら待っても彼女から返信が来ないのです。私は急に寂しくなり、孤独感にさいなまれました。一見楽しそうにしていた彼女は、実は私に一抹の興味も有してはいなかったのではないか。彼女の微笑みはすべて虚飾だったのではないか。ほとんどなにも話を交わしていないあの上野太郎に彼女は気があったのではないか。もしかしたら彼に、新歓終わりにメールをしたのかもしれない。


 私はここで、自分が到底知ることのできない女性の心の内、絶対的な隔たりを感じてしまったのです。私は人間不信に至るほど疑心暗鬼したのちに、大粒の涙を流しました。私があの時感じた愛は、一体なんであったのでしょう。


 私は今日も携帯を片手に握り、いつくるかもしれない彼女の返信を待ち続けているのです。なむなむ!