道化が見た世界

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ファルスの相互補完的世界

自己は他者との連関の上で成立するという前提条件を私達は案外忘れがちである。


ファルスもその例外ではない。ファルスとは、自己と他者のact-reactの相互関係によって完結する。ピン芸人は、自己―観客の相互関係によってファルスを成立させるが、react側の観客は彼が用いるファルスに対して「ただ笑うだけ」である。


しかし、コンビ芸人の場合は、「ボケとツッコミ」のact-react関係によって、より深くファルスを追及できる可能性を秘めている。それこそが私が定義したファルスの弁証法的アプローチである。


act側の対になるreact側の人間が「act側を凌駕する、あるいは同等の」ファルスを用いることで、先程までact側の人間であったものがreact側へと翻る。この相互補完的永続関係を維持できるか否かが全てになる。


この関係において、両者はその前提となるファルスを有してなければならない。どちらか一方でもその力を有していなかった場合は、相互補完的世界は構築できない。


私はこの相互補完的関係を高校三年時のkent-skyの中に見出だした。私は彼のファルスを引き出し、彼は私のファルスを引き出した。


彼のような存在が、つまりsky-the-second的存在が大学にいたとすれば、私のキャンパスライフは多少グロリアスになっていたかもしれない。